我輩はみけにゃんこである? なぜ「みけにゃんこ」なのか…?その生態は…? 少しずつ明かしていきますね。 *この物語はフィクションでもあり、登場する人物・団体名等は* *実在しない可能性があります* |
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我輩は「みけにゃんこ」である。名前は当然「みけにゃんこ」。 なぜ「みけにゃんこ」なのか・・・それには一応、ワケがある。 初冬のある日、あるじ殿が川っ端を散歩していると 川上から大きな箱がドンブラコと流れてきたそうな。 小判でも入っているかと覗いてみると 中にはみすぼらしい猫が一匹、不安そうにあるじ殿を見つめていた。 目が合ってしまったから仕方ない。 優しいあるじ殿は猫を拾って家につれて帰り 汚れを洗い落としてストーブで暖をとらせ、餌を与えた。 小綺麗にはなったがこれといって芸ができるわけではなさそうだった。 試しに「おぬし、名はなんと申す?」と尋ねてみたが、 ねこは小さく「にゃー」と鳴くだけであった。 「そうか、では姓を『みけ』、名を『にゃんこ』と名乗るがよい」 あるじ殿はそういって猫を部屋に残したまま床に就いた。 翌日は我輩を部屋に置いたまま、お勤めに出かけ、 何日たっても我輩を追い出す様子はなかった。 あるじ殿の家に棲み付いた我輩は、拾ってもらった恩返しをしようと `ネコ心´にも強く決心した。 よく考えたら思い出した…そういえば我輩はメスであった!。 そこで、あるじ殿のためにオサンドンをすることにした。 こうして我輩は「みけにゃんこ」としてあるじ殿に仕えることになったのである。 |
2003年07月06日 14時47分23秒
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我輩は みけにゃんこ である。先に紹介したあるじ殿は、人間である。 彼は歩くのが大好きなようであった。 朝メシが済むと、今日はどこへ行こうかと呟きながらお出かけの支度である。 「どこへ行くのかにゃ?」と聞くと、わからないとのたまう。 「散歩は行き先を決めていないから散歩なんだ。」 わかるようでわからない理屈である。 我輩も供をせよと言いつけられて同行する。 あるじ殿が右へ行けば右へ、左へ行けば左へ、後をついて行くしかない。 棲家周辺のテリトリーを一巡すると電車に乗った。 「次で乗り換えるか?その次でいいかぁ。」行き当たりばったりである。 犬も歩けば某に当たるというが、 何を期待して歩いているのかさっぱりわからなかった。 実に疲れる。第一、歩幅が違う。 大股でピッチも早いあるじ殿について行くには、 我輩は自分のピッチを3倍にし、フル回転で足を運ばねばならない。 大体、「猫」を散歩に連れ出して歩かせるなんぞ無謀である。 途中で駅の立ち食いそばを食し、ずいぶん遠くまで足を延ばした。 商店街をうろつき、焼き鳥屋の前で立ったままビール片手にネギマを ほおばる。 夕刻とはいえ日の高いうちからよく恥ずかしくないものだ。 我輩はレバー串をくわえながら少々呆れていた。 歩いては食い、食っては歩き、部屋に戻ったのは夜も良い子は寝る時間だった。 さて、あるじ殿が暇さえあれば散歩と称して歩き回るのは、 きっと彼が「犬」だからに違いない。 毎日のようにテリトリーにマーキングし、餌を漁り歩いてはネグラに帰るのだから、間違いなく「犬」であろう。 そこで我輩は、彼の名を「ポチ」と勝手に名付けた。 面と向かって呼ぶわけにはいかぬが、 我輩にとって、あるじ殿は「ポチ氏」として認識されるようになったのである。 |
2003年07月06日 14時47分23秒
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さて、我輩とポチ氏については前回の話でお解かりいただけたことと存ずる。 そのポチ氏はカレーライスが大好物である。 1日3回3日間食べても飽きないという。 風邪薬ではないのだからそんな食べなくても、と思うのだが、食べるのである。 我輩は冬の夜にカレーを作るのが好きであった。 大きく切った肉と野菜を炒めて水を加え、あくを取りながらコトコトと煮る。 ストーブの上に鍋を移し傍で暖を取りながら時々鍋を覗いて肉の柔らかさ加減を見る。 そうやって夜更かしするのが我輩の性に合っていた。 夜も更けたころカレールーを入れる。 ポチ氏はBSシルバリーカレーの辛口が気に入っているようだったが とにかく辛いのが好みである。 バリカレーやまろこくも辛口を試したし、時にはブレンドもした。 いやなに、少しばかり残っているルーを消費するためのブレンドではあったが。 で、ルーが馴染んだところでストーブを消し、我輩は眠るのであった。 今では圧力鍋で1時間あればできるから、 夜更かしせずとも少々マメに煮込むだけで美味しいのができる。 あるとき、1日3回3日目になると、カレーが一食分に足りない。 ところが、である。 ポチ氏は少量の水を入れて鍋肌のこびりつきを落とし ソースと醤油を少々、それにタバスコをたっぷり加えて煮込み始めた。 そうして最後はパンで拭うようにして食べ尽くしたのである。 もっと驚いたことに、 彼は翌日お勤めから帰ると、晩飯にカレーが出ていないのを見て 「おい、カレーはどうした?食ってしまったのか?」・・・。 唖然と言う言葉はこういうときに使うのである。 「自分で全部食べきったでゃぁにゃあのー!?」 我輩の反応に、「え?そうだっけか?」・・・。 「だからにゃ、タバスコ加えた辛〜いヤツ、パンで拭ってにゃ、…」 「ああ、そういえばそうだった。」・・・ はにゃ〜思い出してくれて助かった。 彼のカレーを我輩が全部食べてしまったかのような言われようであったからして、我輩は念のため付け加えた。 「あるじ殿のカレーは辛すぎてみけにゃんこには食べられないにゃん。」 我輩の舌は、わりあいお子様の舌なのである。 |
2003年07月16日 00時46分56秒
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何の「芸」もなかった我輩に、ポチ氏は色々と仕込んでくれた。 まず、朝はコンビニで肉饅を買い、駅のホームで電車待ちの数分で食べる術から始まった。ラッシュ時間帯でなければローカルでは十分可能であるが、それでも人目が気になる。ポチ氏は平気でもぐもぐと、あっという間に食べ終えそうな勢いであった。我輩も遅れを取るまいと必死で食べた。 次は駅の立ち食いそばであった。初めて立ち食いそばを食おうと言われた時は、我輩はさほど飢えていなかった。立ったまま食べる店は、足の短い我輩には気後れする場所でもあったから、店の外で時間を潰していた。ポチ氏は10分もすると満足げに店を出てきた。 それから1時間ほどして我輩は突然空腹感に襲われた。「にゃ〜お腹空いた…」と情けなく呟やく我輩に、ポチ氏は極めてドライであった。「俺はさっき食べたから腹一杯だ。」…我輩は悟った。腹が減っていなくても、あるじ殿の食事時には一緒に餌を頂かなければ身が持たないんだにゃ〜。餌の時間は絶対服従にゃん?
やがてポチ氏と一緒に立ち食いするのにはすっかり慣れっこになった。
そんなこんなで、歩きながら肉饅や焼き鳥を食す術も会得した。お陰で今では独りでも人前で立ち食いができるようになった。困ったものだ。どうせなら自慢できる芸を仕込んでほしいのだが。 以来数年、曲がりなりにも友達とゲームらしいことができるようになり、ポチ氏と一緒に大衆プルバーで楽しむ事もできるようになった。ネコのすることゆえ上手くはならぬが、ポチ氏から伝授された最高の芸である。我輩の忍耐と努力の賜物(?)であろう(爆!) |
2003年09月24日 01時55分14秒
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さて、人間界にもだいぶ慣れてきた我輩である。 あるじ殿は我輩を放し飼いにして一人で散歩に行くことも多くなった。 ある日の夕方、散歩から帰ってきたあるじ殿が、ちょっと得意顔で小さな箱を取り出して見せた。100円で手に入れたというそれには「手動髭剃り」と横文字で書いてある。おもむろに箱を開けて中身を取り出す。一見コンパクトな電動シェーバー風であるが、人力髭剃りであった。レバーを手で握ると中のカミソリが回転して髭が剃れるというシロモノである。 握ったままでは止まってしまうから、握ったり緩めたりを繰り返しながら、あるじ殿は自分の無精髭を剃って見せた。そして「電池不要なんだよ。」と威張る。「もっと根気よく剃らないときれいにならないにゃ。」我輩は冷めた眼差しを向けながら言った。 案の定、せっかくエコロジーな100円の「手動髭剃り」を買ったのに、それ以来二度と使われることはなかった。我輩は「そういうのを『銭失いのゴミ増やし』と言うんだにゃははは!」と思わず笑ってしまった。「それを言うなら『安物買いの銭失い』だろう?」と言うあるじ殿に、我輩はこう言い返した。「安物買いの銭失いも、度が過ぎると銭失いのゴミ増やしになるにゃん〜」 しかしながら、かく言う我輩も100円ショップは大好きである。 この手の店に足を踏み入れようものなら、あれがいいか〜これもいいか〜チョット買いすぎか〜などと思いながら、あっという間に2時間ほどが経過するのである。 欲しいものがありすぎて迷ってしまう。綺麗なラッピングリボン、可愛いマグカップ、レターセット、ハンカチ、手鏡、アクセサリー、籐かご、鍋敷き、その他実用生活雑貨が何でも一個100円なのだ。そして買い物カゴは一杯に…。 恐るべし100円ショップ。100円ショップへ行って100円の買い物で済んだためしが無いのである。我輩的には買った品物は有効に使っているつもりなのだが、あるじ殿は「ああ〜、またクダラナイものを買い込んで…」とため息をつくのである。 |
2003年10月08日 19時17分32秒
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